アタシはどこで、いつ生まれたのか、その記憶は真っ暗だ…
アタシの名前はエフィー。気がついたらアタシはあの研究所にずっといた。
そこで生まれた、ううん、違うね、造られた、のか、それともイリヤみたいに元はタダの人間でそれからこーいう風にされたのか、それも判んない。
判ってるのはアタシの名前はエフィーってコトと、アタシはフツーの人間じゃないってコトと、パパもママも誰もいないってコト、それからアタシはイリヤと同じだってコト。
あそこの研究所は全然好きなんかじゃなかったけど、でもアタシは最初からあそこにいて、あそこにいるしかなかったから、ずっとあそこにいるだけだった。
良かった事はひとつだけ、イリヤに会えたこと。
研究所の人達はヒドイ、イリヤにはイリヤっていう凄くステキな、イリヤだけの名前があるのに、”ネクロ”だなんて名前をつけた。
イリヤはそんな存在じゃないのに…イリヤはアタシに太陽の光を見せてくれたのに。
ソシキとかそーいうコトよく判んないアタシでも判ってたのは、あの研究所…あの組織で1番偉いのはギルって人だってことだ。
1回か2回だけ、少しだけその人の顔を見たことがあるけど、あっちの方はゴミクズみたいなアタシの存在なんて知らないに違いない。だって神さまだモン。
神さまがイリヤをあんなにしたっていうのも知ってる。
神さまはイリヤのコトがキライだ。イリヤも神さまがキライだって言ってた。だからアタシも神さまのことがキライ。神さまはイリヤを壊そうとした。自分でイリヤをああしておいて、壊すなんてあんまりだ。壊すのなら、どうして最初から造ったりしたんだろう?
アダムとイブは、神さまに楽園から追い出されたんだって。アタシ達も、アダムとイブかな?あの暗くて寂しい研究所は、楽園なんかじゃ絶対になかったケド、アタシ達が生まれたところだ。
だけどアダムとイブは、最初っから、自分達で楽園から逃げ出すべきだったんだ。
どんなに居心地が良くたって、どんなに天国みたいな場所でも、その”楽園”は神さまが用意したもの。神さまが決めた事に従って生きていく場所なんて、自由がない。そんな所からは逃げ出して、自分達で自分達の居場所を見つけるべきだったんだ。
アタシとイリヤは今神さまから逃げてる。
ううん、そうじゃない、アタシ達は自由を追いかけてる、そうだよね、イリヤ?自分達の力で、自由をつかまえるんだから…



「チックショォ、しつこいンだよ、テメェらよォ!」
イリヤの声、風の音、走り続けるアタシ達の足音、握り締めた手から伝わってくるイリヤの心臓の音。
何が何だか判んない、こないだからアタシ達はずっと変なモノに追いかけられてる。
イリヤは、きっと神さまがアタシ達を完全に消そうとして送ってきた奴らだって言ってる。
どうして?アタシ達はもう”楽園”の外に出たのに。アタシ達はもう、神さまのモノじゃないのに。
「手ェ離すなよォ、エフィー!」
建物の上から地面へとジャンプする。ゴオゴオうなる風の音、アタシは叫ぶ、こんな時でも何だか楽しい!
離さないよ、イリヤ、アタシはずっとイリヤと一緒に走り続けるから。
握り締めたこの手の中に、本当の自由があるような気がするから。






☆なじ☆
色々とチグハグな感じでもう何が何やら…




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